日別アーカイブ:2026年7月10日

Vol.13 おしっこが教えてくれること 〜こどもの尿検査のおはなし〜

こんにちは、うにし小児科です。お子さんが熱を出したとき、「今日は検尿をしましょう」と言われて、(どうして今日は尿を調べるのかな?)と思われたことはありませんか?

実は先日、当院で診察後にお願いしているアンケートに、こんなご質問をいただきました。「熱で受診することが多いのですが、検尿をする時としない時があります。その違いは何でしょう。先生に伺うタイミングがなく、理由を知りたいです」――。

なんて良いご質問だろう、と思いました。診察の場では、ゆっくりお話しする時間が取れないこともあり、いつも心苦しく感じています。今日はこの場をお借りして、こどもの尿検査についてお話しさせてください。

尿検査の、うれしいところ

尿検査のいちばんの良さは、お子さんに痛みや負担をかけないことです。血液検査のように針を刺すこともなく、ただおしっこをとるだけ。それなのに、体の中のことをたくさん教えてくれる、とても頼もしい検査です。

なぜ、熱があるときに尿を調べるの?

その熱の原因が「かぜ」ではなく、「尿路感染症」という、おしっこの通り道の感染症であることが少なくないからです。とくに女の子は、体のつくりの上で、この感染症を起こしやすいことが知られています。かぜの症状がないのに高い熱が続くとき、私はまず、この病気を思い浮かべます。

尿路感染症は、おしっこの中に「白血球」――ばい菌と戦う細胞――が出ているかどうかで見分けます。この検査をせずに診断することはできません。そして、もし感染が腎臓にまで及んでいたのを見のがすと、小さな腎臓に傷を残してしまうことがあります。だからこそ、早めに見つけて、しっかり治してあげたいのです。

水分が足りているかも、分かります

尿が教えてくれるのは、感染のことだけではありません。おしっこの「濃さ」を見れば、お子さんの体に水分が足りているか――脱水になっていないか――も分かります。小さな一滴が、これほど多くを語ってくれるのです。

実は私は、小児科医であると同時に、腎臓を専門に診てきた医師でもあります。長年おしっこと腎臓に向き合ってきた者として、この検査の大切さを、いつも実感しています。

気になったら、遠慮なく聞いてくださいね

もちろん、熱のたびに必ず検査をするわけではありません。お子さんの様子やこれまでの経過を見て、必要と考えたときにお願いしています。「今日はどうして調べるのかな」「今日はしないのかな」と気になったら、どうか遠慮なく、その場で聞いてくださいね。お答えするのが、私たちの役目です。

うにし小児科は、これからも、みなさんの小さな「なぜ?」を大切にしていきたいと思っています。アンケートに声を寄せてくださったことに、心から感謝を込めて。

Vol.12 いま枚方でも流行中!手足口病と、おうちでの過ごし方

こんにちは、うにし小児科です。

先日、私が園医をしている保育園の健康診断に伺いました。すると、あるクラスでは、なんとほとんどのお子さんが手足口病にかかっていたのです。それほどまでに、今、手足口病が広がっています。

実際、大阪府は2026年7月9日、手足口病が「警報レベル」を超えたと発表しました。府内の患者数は前の週から約1.5倍に増え、とくに1歳のお子さんを中心に広がっています。ここ枚方でも、これから夏にかけて、いっそうの注意が必要です。

今日は、園医として現場を見てきた立場から、手足口病について、そしておうちでの過ごし方について、わかりやすくお伝えします。

■ 手足口病って、どんな病気?

その名のとおり、手のひら・足の裏・口の中などに、2〜3mmほどの小さな水ぶくれのような発疹が出るウイルスの感染症です。軽い発熱を伴うこともあります。原因となるウイルスは一つではなく、年によって流行する型が変わります。そのため、去年かかったお子さんが、今年また別の型でかかることも、めずらしくありません。多くは、数日から1週間ほどで自然によくなる、比較的軽い病気です。どうぞ、あわてず見守ってあげてください。

■ おうちでのケア ― 大切なのは「水分」です

手足口病には、ウイルスをやっつける特効薬はありません。お子さんの体が自分でウイルスに打ち勝つのを、休養と栄養で支えてあげるのが基本です。いちばんつらいのは、口の中の痛みです。しみて食べられない・飲めない、ということが起こります。そこで、こんな工夫が助けになります。

・酸っぱいもの、しょっぱいもの、熱いものは、しみるので避ける
・冷たいゼリーやアイス、プリン、豆腐、冷めたおじやなど、のどごしのよいものを
・何より、こまめな水分補給を(麦茶や経口補水液など、しみにくいもので)

お風呂は、熱がなく元気があれば入って大丈夫です。皮膚を清潔にしてあげてください。

■ こんなときは、受診してください

多くは軽くすみますが、次のようなときは、早めに受診してください。

・水分がとれず、おしっこの量が減っている(脱水のサイン)
・高い熱が続く、ぐったりして元気がない
・嘔吐をくり返す、視線が合わない、けいれんがある

最後の項目は、ごくまれですが、髄膜炎や脳炎といった合併症のサインであることがあります。「いつもと様子が違う」と感じたら、遠慮なくご相談ください。

■ 保育園・幼稚園は、いつから? ― 知っておいてほしい「本当のところ」

ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。手足口病の登園の目安は、他の感染症とは少し意味合いが違うのです。

インフルエンザなどは「もう人にうつさなくなったから登園してよい」という考え方です。ところが手足口病は、症状が治まったあとも、2〜4週間ほど便の中にウイルスが残り続けます。つまり、発疹が消えても、実はしばらくの間、うつす力が残っているのです。

では、なぜ登園できるのか。それは「もう安全だから」ではありません。1週間も2週間も園を休むのは、現実には難しい。ですから、熱が下がり、口の中の水疱が落ち着き、食欲が戻ってきた頃を目安に、いわば折り合いをつけて登園を許可している――というのが、本当のところなのです。

だからこそ、登園したあとも、手洗いを続けることが何より大切になります。とくにこの季節、気をつけていただきたいのがプール遊びです。ビニールプールなどでみんなで遊ぶと、便に含まれるウイルスが水の中に出て、水しぶきと一緒に他のお子さんの口に入り、感染が広がることがあります。園でどなたか一人がかかると、同じクラスのお友だちに次々と広がっていくことも、めずらしくありません。冒頭でお話しした「クラスのほとんどが手足口病」というのも、こうして広がっていくのです。

■ おうちでできる予防 ― 手洗いと、タオル

ご家庭でできることは、やはり基本の積み重ねです。外から帰ったとき、トイレやおむつ替えのあとの手洗い。タオルは分ける。そして、プール遊びのあとも、しっかり手を洗う。地道ですが、これがいちばん確実な予防です。

うにし小児科では、土曜・日曜も診療しています。「これって手足口病かな」「食べられないけれど大丈夫かな」――そんなとき、どうか一人で悩まず、私たちを頼ってください。地域のお子さんを見守ってきた私たちが、この夏も、皆様のそばにいます。