夏病特集2024

2024年 「子どもがかかりやすい夏の感染症について」 - うにし小児科 医師 卯西 元 先生

| うにし小児科 / 卯西 元(うにし げん)

─ 「夏の三大感染症」とは何でしょうか? ─ 「夏の三大感染症」のそれぞれの症状について教えてください。 ─ 特徴や感染経路について教えてください。 ─ 「夏の三大感染症」には治療法がなく、対処療法になるといわれていますが、対処療法を教えてください。 ─ 医療機関への受診のタイミングを教えてください。 ─ 今からできる

夏になると「子どもの感染症」が増加します。
今回は「子供の感染症」について、うにし小児科の 卯西 元 先生にお話をお伺いしました。

「夏の三大感染症」とは何でしょうか?

一般的には、「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」が夏の三大感染症と言われています。「ヘルパンギーナ」と「手足口病」は原因ウイルスの種類は違いますが、同じ「エンテロウイルス属」というグループに分類されているウィルスによって発病します。「エンテロウイルス」は「腸管ウイルス」とも呼ばれ、ウイルスが腸管で増殖するのが特徴です。そのため便から排泄され、感染源になります。「プール熱」は「アデノウイルス」というウイルスが感染源となっています。
「夏の三大感染症」と言われていますが、新型コロナ感染症が流行してからは季節性もなくなってきました。以前、感染症は1年サイクルで発生していました。5、6月頃から手足口病が発生し、その後プール熱が発生・・・というように。しかし新型コロナが発生してから、夏風邪や手足口病の患者さんがほとんど来院されない年もありました。

「夏の三大感染症」のそれぞれの症状について教えてください。

「手足口病」は手・足・口に発疹が出ます。また、咽頭炎や発熱などの症状が出ることもあります。発疹はいずれ引いて元気になるのですが、ごくまれにウイルスが脳炎や心筋炎などの合併症を起こす場合があります。「ヘルパンギーナ」は発熱と口腔内に発疹が出ます。手や足には発疹は出ません。

「プール熱」はアデノウイルスによる感染症で、かかった時の症状として3つのパターンがあります。1つ目は扁桃腺が腫れて高熱が3~4日続く場合、2つ目は扁桃腺プラス目の充血を伴う場合、3つ目は吐き下し、いわゆる感染性胃腸炎の症状のタイプです。それ以外の特殊な例として、目の充血がひどく感染率がとても強い「流行性角結膜炎」という結膜炎になる場合もあります。

特徴や感染経路について教えてください。

夏の感染症は感染力が非常に強いため、集団感染がおこりやすく一気に広がるという特徴があります。 「ヘルパンギーナ」や「手足口病」の感染期間は咳や鼻汁から 1~2週間、便からは数週~数か月間もウイルスが排出されますので、一旦発生すれば止めようがありません。そのため、隔離のための長期の登園(登校)停止は意味がなく、熱が下がり合併症もなく元気であれば登園(登校)が許可される場合が多いのです。充血や結膜炎などの眼の症状がある「プール熱」の場合は、熱が下がっても眼の症状を観察しながら登園(登校)の判断をする必要があります。通常、解熱後2日間お休みしていただく必要があります。
これらの感染症の経路は尿や便、唾液などの分泌物への接触や飛沫によるものです。幼稚園や保育所では、オムツ替えのあと手洗いを徹底しなかった場合や、患児が触ったおもちゃを介しての感染のリスクがあります。

「夏の三大感染症」には治療法がなく、対処療法になるといわれていますが、その対処療法を教えてください。

まず、医療機関を受診してください。ご自宅での対処療法は、脱水症状を防ぐための水分補給と栄養補給です。スープやジュース、柔らかくて食べやすいものを、1回量は少なくて結構ですので回数を多く与えてください。

医療機関の受診のタイミングについて教えてください。

夏の感染症は、ほとんどが治っていくものですが、重大な合併症を伴うこともありますので、必ず医療機関を受診し、診断と経過観察を受けてください。

今からできる予防法を教えてください。

外出から帰ってきた時に「手洗い」と「うがい」を欠かさないことが大切です。またマスクも有効ですが、お子さんの場合は熱中症にも注意してください。
新型コロナに対する感染対策が緩んできて、マスクをする習慣も薄れてきましたので、今年は「夏の感染症」にかかるお子さんが増えるかもしれませんね。



――――――本日はどうもありがとうございました。

お話を伺った先生:卯西 元 先生(うにし小児科・大阪府枚方市

【略歴】

  • 1979年3月    関西医科大学卒業
  • 1984年3月    関西医科大学大学院博士課程修了 学位取得
                        関西医科大学小児科学教室助手
  • 1984年8月    大阪府済生会野江病院小児科医長
  • 1997年4月    大阪府済生会野江病院小児科部長
  • 2003年11月1日  うにし小児科開院

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