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蕁麻疹

1つ1つはまるで蚊にかまれた時のような赤く、ぼこっと地図状に腫れたあの痒い痒いやつです。1個だけ出現することもあれば、全身に多発したりつながってまるで大陸のようになることもあります。蕁麻疹も出やすい人とそうでない人の差が激しく、毎日お薬を飲んで抑える必要がある人もいれば、人生で1回も出ない人もいます。

蕁麻疹は老若男女、誰でも起こるので病院でも蕁麻疹の患者さんは結構多いです。原因としてはやはりアレルギーで起こることもあるので、怪しいきっかけがないかの確認は重要です。もうすでにはっきりアレルギーが分かっている人がうっかり食べたり触ってしまったりした場合は分かりやすいですが、初めて何かを食べたり、動物を触ったり、また新しい薬を飲み始めたというエピソードもしっかり確認する必要があります。

蕁麻疹の患者さんの多くは、何かアレルギーを起こしたに違いないと強く信じて病院に来られるように思います。蕁麻疹も非常に研究が進んでいる分野ですが、実際にはアレルギーによる蕁麻疹は全体の10%程度しかなく、残りの90%程は特に誘因なく唐突に起こります。「原因が分からない」、ではなく、「原因がない」のが90%ということです。

アレルギーが原因の場合には摂取後や接触後にひどい症状が出ても、翌日以降は急速に消退あるいは改善します。特定の原因から離れると症状はすぐにましになるからです。一方で原因がないパターンでは数日にわたって出たり消えたりを繰り返すことが多いでしょう。特に体温が上がる食事時や夜間にひどくなります。従って湯舟につかるのはやめましょう。夏であれば、逆に冷たいシャワーを浴びるとかゆみがかなり楽になります。

治療としてはアレルギーが疑われる場合は原因の除去をした上で、抗アレルギー薬の内服がメインとなります。塗り薬も処方されることが多いですが、一つ一つの蕁麻疹は数時間で出たり消えたりするので、塗り薬単独ではもぐら叩きのようになってしまいますのであくまで内服薬の補助的役割と考えるのがよいでしょう(家にある痒み止め軟こうやステロイド軟こうを受診までに使ってもOkです)。多くはないですが、中にはこの蕁麻疹が長期間継続する患者さんもいます。2か月以上続く場合を慢性蕁麻疹と呼ぶきまりになっていますが、ちなみに院長は蕁麻疹持ちです。睡眠不足の時に顕著に出ることを自覚しています。

さてエピソードから蕁麻疹の原因となりそうなアレルギーがない場合に、血液検査の意義はあるでしょうか?再三お話しているように、アレルギーの血液検査はそもそも正確度が低く、原因が分からない時に網羅的に施行して特定することはできません。蕁麻疹に関しても血液検査を施行する意味はほぼないということが研究で判明しておりますので多くの医療機関で施行していません(当院でも行いません)。

最後に、蕁麻疹は体調不良の時に出やすいことは皆さんのイメージ通りでしょう。熱が出た時は言うならば体の内側から温められているわけですからね。胃腸炎の時にもよく出やすいことが知られています。また、蕁麻疹単独はもちろん皮膚科の受診でもよいのですが、溶連菌感染の時には非常に皮膚症状が出やすいということは覚えておきましょう。蕁麻疹あるいは湿疹などの皮膚症状が熱や咽頭痛と共に出現した時は小児科の方を受診する方がよいでしょう。

夜尿症

夜尿症は「5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続くもの」と定義されています。7歳児における夜尿症の有病率は10%程度とされ、その後毎年15%ずつが自然に治るとされています。

尿は腎臓というところで24時間作られていますが、脳からの指令によってその製造スピードを調節しています。赤ちゃんの頃は当然夜だからなどお構いなしに尿が作られるため、夜間もおむつが活躍します。年齢が上がり段々脳が成長してくると、夜にたくさん尿を作るのは損だよね?と気づき始め、脳が腎臓に向けて抗利尿ホルモンというものを夜間にたくさん出すようになります。このホルモンは腎臓での尿製造をスピードダウンさせる働きがあります。

現在、夜尿症の治療薬として最初に使われるミニリンメルトというお薬はまさにこの抗利尿ホルモンのことです。舌下錠といって、舌の下に置いて吸収を待つタイプの薬剤で、飲むのを嫌がる子はほとんどおらず、また目立った副作用もほとんどない安全性の高い薬です。

この薬の登場により、夜尿症の子の治療薬としてまずは比較的気軽にミニリンメルトを試すのが一般的になりました。数か月試して改善のない子はその次のステップの治療を行うため専門の先生のところに紹介になるという次第です。

このようにミニリンメルトは非常に一般的に行われる安全な治療ですが、いくつか親御さんが知っておくべきことがあります。まず、夜尿症はそもそも無治療で自然に相当改善していきますので、必ずしも全員が全員薬物治療を必要とするわけではないということです。特に幼稚園や保育園の年代では深く悩みすぎないようにしましょう。

2つ目としてミニリンメルトは5歳から使用が可能ですが、実際には5歳では奏効率が低く、多くの先生は最低でも6歳以上、または小学校入ってからを治療の開始としています(当院でもそうです)。

3つ目として生活習慣を整えることの大事さを意識しましょう。寝る時間がばらばら、寝る前に水分やアイスを摂る習慣があるという場合には薬の効果は非常に低くなります。便秘がある児でも治療がなかなかうまくいきません。尿のタンクである膀胱の背側には直腸があり、そこに便が溜まっていると膀胱が圧迫されすぐに尿があふれてしまうためです。

最後の注意点としてミニリンメルトは非常にマイルドな薬であり即効性は期待できません。しっかり効くまでに最低でも2.3か月くらいはみておく必要がありますので、「野球の合宿が来週なので」とか、「修学旅行中だけでも出ないようにお薬が欲しい」などの直前の受診では間に合わないことを覚えておきましょう。

一方で、弟や妹が先におむつが外れた小学生などは非常によい治療適応となります。上の子としてのプライドにも関わり、性格形成にも影響がある可能性が指摘されています。

さて、ミニリンメルトはまだ不足しているホルモンを補充しているだけで、飲んでいる間だけ夜尿症が減る「はず」でした。ところがこの治療が広く施行されるようになってデータが積み重なってきて分かったこととして、ミニリンメルトで治療をした群は、無治療をした群より明らかに夜尿症の根治が早まることが示されました。このメカニズムはまだはっきり解明されていませんが、夜尿がないことで自信が生まれそれがいい方向に作用すること、ホルモンを入れることで逆にそれが自分のホルモン生成を刺激することなどの可能性があると言われています。

夜尿症が気になっているお子さんは、小学校入学前後をめどに一度受診をしてみて下さい。なお、その時期を逃したら治療が開始できない訳ではありませんので、年齢が大きいお子さんも(むしろ大きいお子さんこそ)ぜひご相談下さい。