大学時代のことその5 勉強会

医学部は5回生ぐらいになると、病院実習や国家試験に向けて、勉強会というのを始めます。

だいたい仲良し数人でグループを作り、定期的に集まって問題集を解いたりする訳です。

なんせ量が膨大ですので、みんなで分担して自分のところを予習して、勉強会で教え合うというのが一般的なスタイルです。

私は大阪大学医学部時代、男3人、女2人の勉強会に入れてもらってました。

この5人はえらくウマが合い、富士急ハイランド旅行、沖縄旅行、ヨーロッパ卒業旅行など、勉強以外にも多いに一緒の時間を楽しみました。

青春を語るのに欠かせない大切な友人達です。

ちなみにクリニックの受付の上に飾ってあるトトロの時計は、このメンバーがプレゼントしてくれたものです。

卒業後も年2~3回、必ず集まっており、昨年の夏には多忙なみんなの予定を何とか調節して、有馬温泉に一泊旅行に行ってきました。

何かの本で読みましたが、「いつかみんなで旅行したい。」という言い方をすると、願望はなかなか叶わないそうです。

「この夏にみんなで旅行に行く。」という目標で、私達は見事に実現にこぎつけました。

忙しい、忙しいと思っていても、やろうと思えば何とかなるものですね。

目標を立てる時は、期限を設けるとぐっと達成率が上がるそうです。

お試しあれ。

医者という仕事その3 救急車

どのような時に医者としての喜びを感じるかは、科によっても先生によっても様々だと思います。

淀川キリスト教病院の新生児科で勤務していた頃、たびたび救急車に乗ることがありました。

産院で生まれた赤ちゃんが想定外のトラブルを抱えていた場合に、指定病院のNICU(新生児集中治療室)に運んでくるための救急車に医師が同乗して迎えに行くというシステムが大阪では確立しています。

医療現場では常に予想外の事態が起こるものですが、お産の現場はその最たるものと言ってよいでしょう。

大阪ではこのシステムのおかげで、赤ちゃんの入院設備のない産院でも安心して分娩ができ、万が一の時にも入院先がスムースに決まるようになっています。

 

さて、そんな一刻を争う赤ちゃんを搬送している救急車がけたたましいサイレンを鳴らして渋滞した大阪の狭い道を駆け抜けんとする時、車の山が必死に端によって通り道を空けてくれます。

この光景は、日本以外の国では当たり前ではないこともあるようです。

どの車に乗っている方も急いでいるはずです。

その一人一人の善意から分け与えられた数十秒・数分の時間の積み重ねは、乗っている赤ちゃんの十分・数十分になり、そしてその人生を大きく変えることもあるのです。

救急車の前にできたその道の先にまぶしい希望の光を感じます。

医者として猛烈な感謝の気持ちを感じるとともに、思いやりにあふれた日本に生まれたことをとても光栄に思う瞬間でありました。

今は誰かのため、いつかは自分のため。

みんなが空けてくれるこの道がある限り、この国は大丈夫だと確信します。

「かぜ」を知ろう⑥ かぜで病院に行く理由

咳・鼻水・熱と3拍子揃ったら、それはかぜ(ウイルス性)と言い切ってよいでしょう。

かぜを早く治すお薬は地球上に存在しません(例外はインフルエンザのかぜのみ)。

かぜをこじらせないために抗生剤を早めに内服することには、全く効果はありません。

かぜの多くは何もしなくてもかぜのまま終わり、一部のかぜは何をしてもなる時は肺炎になってしまうのです。

ではかぜの時、病院に行くのはどのような理由がある時でしょうか?

 

①かぜが、かぜでなくなっていないかのチェック

かぜのウイルスが「鼻」と「喉」だけに留まっている状態がかぜです。かぜの一部は途中から敵が耳や胸へと侵入していき、中耳炎や肺炎へと進化します(こじらせる)。こうなるとそこからはじめて抗生剤の追加が必要になります(場合によっては入院して点滴の抗生剤)。我々小児科医が胸の音を聞き、耳の観察をするのは、かぜがかぜで済んでいるかのチェックをするためです。

★抱っこしていて呼吸がゼーゼーしているのを感じたり、明らかな息苦しさがありそうな時、あるいは夜だけであっても高熱が3日以上続く時は肺炎になっている可能性がありますので受診しましょう。

★耳を痛がったり、耳だれがある時は中耳炎の可能性がありますので受診しましょう(耳鼻科が最適)。保育園児は鼻水がずっとあるのが普通ですが、耳に影響が出ていないか、元気でも2,3週間に1回耳鼻科や小児科で診察を受ける事を考えましょう。

★元気だけれども10日~14日以上咳がひどく改善しない場合は抗生剤や検査が必要なことがあるので受診しましょう。

②咳、鼻水、熱を和らげてあげたい

必要以上の咳、鼻水、熱を和らげるのがかぜ薬の目的です。飲んだから早く治るということは全くありません。しかもかなり症状を和らげる強い薬の使える大人はまだしも、赤ちゃんや年少児で使えるお薬は副作用の観点からも相当マイルドなものになりますから、気休め程度と言っても過言ではありません。飲めたらラッキーぐらいの感覚で、飲ませようとすると大泣きしてむしろ咳や鼻水がひどくなる、という場合には飲ませる努力は不要と言えます。薬よりもはるかに効果的な和らげる治療としては鼻水の吸引があります。特に自分の鼻水に溺れてしまう小さい子どもには非常に効果的ですから、明らかにかぜではすんでいるけれど咳や鼻水を和らげたいという場合の受診の目的のメインはこの鼻水吸引になるでしょう。

③かぜの途中で喘息のスイッチが入らないようにしてあげたい

以上のように和らげる必要のない軽い症状のかぜの段階の時、急いで病院を受診するメリットはありません。しかしベースに明らかな喘息のある子どもの場合、喘息を抑える薬を使用することでかぜの途中から喘息のスイッチがonになるのをある程度抑えることができますので、早めに受診することを心がける方がよいでしょう。

 

 

運動会や旅行が控えているので早めに治したい、前回のかぜで肺炎・中耳炎になったので今回はしっかり薬を飲んでこじらせないようにしたいという、私の妻からの切実な要望に21世紀の医学は応えることはできません。

この事実を我々医師はしっかりと啓蒙するべき義務があります。

かぜをひいたら早めに病院に行って、効く可能性がゼロでないなどという理由から不要なお薬も含めてどっさり処方されていた昭和の時代の習慣は、あたかも「肺炎になったのは、早く病院に行って薬を飲まなかったせいだ!」という誤解を広めるのには十分すぎるほど我々の意識に強く刷り込まれているようです(医者ですら)。

「肺炎や中耳炎はなるときゃーなる」ので、なったらしっかり抗生剤を使用して治療しましょう。

現代において肺炎が命を脅かすほど怖い病気でなくなったのは(もちろん肺炎になったらどうしようというお母さん方の不安をこの身に痛いほど感じながらあえてこう言います)ならないようにするお薬が開発されたからではなくしっかり治せる抗生剤があるからなのです。

しかし、不要な抗生剤の乱用は耐性菌の爆発的な増加をもたらし、このしっかり治せるお薬という位置づけを揺るがせつつあります。

抗生剤は中耳炎や肺炎のようにかぜをこじらせてからの後出しじゃんけんというのが、子ども達にとっての本当によい治療であるということを今後とも地道に伝えていくことは小児科医にとっての大きな仕事の一つであろうと思います。

ただしこれらはあくまで目安であって、不安な時は遠慮なく病院を受診してよいのですよ。①、②、③より何より受診の一番の目的は「不安だから」なのですから。

「かぜ」を知ろう⑤ 咳止めテープ

「夜、咳がひどいので咳止めテープも一緒に出しておいてください。」

とよく言われますが、実は咳止めテープというものは存在しません。

テープに含まれるのは咳止めの成分ではなく、気管支拡張薬という成分です。

喘息がある子どもは、風邪をひくと気管支が狭くなってゼーゼーという息遣いの出る体質の持ち主であり、このテープを張ることで気管支が広がり、結果的に必要以上の無駄な咳が減ることになります。

ところが喘息のない子どもは風邪をひいていくら激しい咳をしていても気管支はMaxに拡張していますから、テープを貼っても効果はありませんので、大げさに言えば副作用だけもらうことになってしまいます。

夜に咳込んでいる我が子をみて心配しない親はいません。

内服薬も嫌がる場合には特に、そっとテープを貼ってあげると少しでもやってあげたという気持ちになるのもとてもよく理解できますが、効果もないのに使用することがないように私はいつも慎重に診察と処方を心がけています。

子育てその22 子どもをやる気にさせるには

「子どもが全然勉強しないのですが、どうしたらよいですか?」

「本をもっと読んで欲しいのですが、うまい手はありますか?」

「食事の好き嫌いを治すいい方法はありますか?」

我が子に何かをさせたいと思った時、我々親はまず立ち止まって考えてみなくてはいけません。

かくいう自分は家で毎日勉強をしているだろうか?本を読んでいるだろうか?好き嫌いをしていないだろうか?

 

私は毎朝6時に起床して、年長さんの長男と一緒にリビングで勉強をしています。

私は医学の勉強を、長男は読み書きや計算、地図の勉強を。

「勉強しなさい。」という言い方は特にしていないつもりですが、割と自然にこういう習慣ができていったように思います。

私は小さい頃、「本を読みなさい。」とくどくど言われた記憶はありませんが、読書好きの父の横でたくさんの時間を本とともに過ごしました。

子どもに好き嫌いがある場合(発達障害やアレルギーのある子ども達は別として)、親御さんがえり好みをしているのを子どもに見せてしまっていることが多いようです。

私自身と息子というとても狭い範囲での経験なので、どれほど一般論として言えるかは分かりませんが、子どもにやらせたいことがある場合、親がまず率先してその姿を見せつけることはとても有効な手段だと感じます。

そのために必要なことは、自分の限られた時間を子どもに分け与えるという覚悟。

だからこそ「時間」は親が我が子に与えられるプレゼントの中で、どんな時代でも常に最高のものであり続けるのです。

「お金をかけるのではなく、時間をかけてあげる。手をかけるのではなく、目をかけてあげる。」

ますます実感する毎日。

子育てその21 バリケード

子ども達は家の中のあらゆる物に興味津々で近づいていきます。

特にキッチンは火や刃物など危険がいっぱいで、ゲートできっちり侵入を阻止したい場所です。

明日2歳を迎える次男はパワフルに育っているのは喜ばしいのですが、とうとうゲートの開け方をマスターしてしまいバリケードを突破するようになってしまいました。

しょうがないので結局ひもでしばっているのですが、超不便。

その上カウンターキッチンの台の方からも引きずってきた椅子を登ってリビング側から入ってくるようになり、妻と本当に困っていました。

さて昨日、私は梅田で淀川キリスト教病院小児科時代の先生方と食事に行って深夜に帰宅したのですが、真っ暗なリビングに入ってふとキッチンの台を見ると、がい骨の顔が黒光りしていて、恥ずかしながら「びくううっっ!!」。

朝になって妻に聞くと、これは次男が登ってきた時に食べてしまう怖い門番として設置した100円ショップのマスクでした。

なるほどなるほど。いいアイデア。

登ったら初めてマスクと目が合って「びくううっっ!!」という仕組みです。

今のところ怖がって登っていないようです。

 

家の中のバリケードとして100円ショップのグッズが役立つことは結構あります。

赤ちゃんはものすごくテレビに接近して見たりするので、庭園グッズの人工芝(はだしで乗るとチクチクする)を周りに敷くのも安全で効果があります。

引出しなどを開けるのを防ぐグッズも売っています。

ぜひ色々活用してより安全な環境を作ってあげて下さい。

どうでもいいことその11 耳を疑ったことpart4

6歳を目前に控えた年長の長男の自転車の特訓も大詰め。

私もだいぶこんがり焼けました。

家のすぐ近くの公園で練習しているのですが、家事の合間にちょこちょこ妻も顔を出します。

そのたびに、「うーんまだまだやな。」とか、「結局は体で覚えなあかんからなあ。」

などと割と辛口コメントを一つづつ残してはまた残りの家事を片づけに家に戻っていきます。

私も、「うんうんその通りやなあ。」と相槌を打っていたのですが、本当に、いや本当に突然に脳に電気が走ったような衝撃があって思い出したのですが。

 

妻、自転車乗れません。

あまりにもっともらしくアドバイスを残しては家に去って行くため、しばらく全く気づきませんでした。

その旨、指摘したところ、「ばれたか。」と一言。

中々やりおるわい。

免疫とアレルギーその5 離乳食の進め方

その5でお話ししたように、皮膚のトラブルを抱えていないお子さんに離乳食開始前のアレルギー検査をすることにはあまりメリットはありません。(このようなご相談があった場合、当院でも検査自体施行していません)

「先生、離乳食始める前にうちの子がアレルギーかどうかはっきりしてください!そうでないと恐くて何も食べさせられない。」

こう言いたくなるお母さんの気持ち、よく分かります。

しかし、アレルギー検査の結果は往々にしてとても曖昧で、白黒はっきりできるようなものではありません。

そして、思い出してください。

アレルギーは0か10かという考え方をすると迷路に迷い込んでしまうこと。

「もし卵アレルギーなら、卵の食品を一かけら食べるととんでもない症状が出るのでは?」

と思いがちですが、そんな10の子どもはほとんどいません。

もし食物アレルギーがあるとしてもほとんどの子は中くらい前後ですから、加工品を少量食べても大丈夫で、出るとしても症状はごくごく軽いものです。

逆に、一気に大量に体に入った場合のみ、強い症状が出る可能性があります。

しばしばありがちなのは、検査して先生に大丈夫と安易に言われた子が、景気よく摂取してどえらいことになるパターンです。

 

中にはお母さん方の勢いに押されてとりあえず検査をして、少しでも怪しければ完全除去を指示する先生方もおられ、過剰な除去が栄養不足につながっている例も散見します。

このように過剰な除去は栄養不足につながるだけでなく、避けすぎることでよりアレルギーが加速することも近年分かってきていますから、除去は慎重でなければなりません。

『初めて食べる食材はどんなものでもクリニックの空いている平日の昼間に少量から。問題なければ徐々に増やす。』

この約束を守っていれば、万が一症状が起こってもごく軽症ですし、いざとなればクリニックを受診できます。

食べて大丈夫ならその量、その形態は大丈夫、というこれ以上ない証明ですから、次回はまた少し増やしてもよいでしょう。

ただし、乳児期からステロイド軟膏が必要な程の明らかなアトピー性皮膚炎がある赤ちゃんは、ベースにいわゆるアレルギー体質が強く疑われる児であり、食べ物に対してもデリケートな反応をするリスクも高いと考えられますから、その場合は肌をコントロールした上で検査を行い、必要に応じて最小限の除去を検討しましょう。

また、卵や乳製品など主要な食材を食べて明らかなアレルギー症状が出た場合も、検査でどの程度の値かを確認するとともに、しばらく除去した後、症状が非常に強かったケースは病院の中で食べてみるという「チャレンジテスト」で離乳食を進めていくことになりますのでご相談ください。

アレルギー検査は、テレビ番組ではあたかも万能な検査のようにうたっていますが、実際はかなり適応は限定的で、必要のない場合に気軽にやると逆に過剰な除去、安易な大量摂取につながることもあるので注意が必要です。

食物アレルギーに限りませんが、「アレルギー検査に期待しすぎない」というのは大事なことと思います。

予防接種その5 インフルエンザワクチン

2020年10月1日からワクチン同士の間隔も従来のように生ワクチンなら4週間、不活化ワクチンなら1週間と空けなくてよくなりました。これにより、一般ワクチンとインフルエンザワクチンとのスケジュールの兼ね合いを調整する必要がなくなり、それぞれ無関係な独立した作業のように進めることが可能となりました。インフルエンザワクチンの予定は、他のワクチンのことは全く考慮せず進めて頂いて大丈夫です。例えば、昨日他院でMR・水痘・おたふくかぜ⇒本日当院でインフルエンザとか、今朝保健センターでBCG⇒午後当院でインフルエンザとか、本日当院でインフルエンザ⇒明日、他院でヒブ・肺炎球菌など。

 

暑くてうだるような毎日が続いています。

冬はまだ先ですが、秋のうちにインフルエンザワクチンで備えをしておきましょう。

インフルエンザは、数百種類あるかぜの中で唯一ワクチンと治療薬が存在するかぜです。

インフルエンザワクチンは麻疹・風疹や、髄膜炎など他のワクチンと違い、劇的に感染率を下げることはできませんが、感染した時の重症化を防ぐ(入院率・死亡率を下げる)ことができますので、特に保育園や幼稚園など集団生活に入っている子どもはぜひ接種しておきたいワクチンです。

製造過程で卵の成分を使用していますが、含まれるのはng(ナノグラム)レベルであり、理論上アレルギーを起こすほどの卵成分は含まれていません。

注:ng(ナノグラム)はmg(ミリグラム)の1000分1です。

基本的には卵アレルギーの方も問題なく接種が可能です。卵を食べたことのない子どもさんでも、アレルギーという観点においては卵をひと舐めするよりはるかに安全と考えて頂いて結構ですので、接種はできます。

生後6か月から接種が可能で、13歳以上は1回、13歳未満は3~4週程度あけて2回接種しましょう。この理想のタイミングより間隔が短かったり、長かったりしても大幅な効果の差はないのでご安心下さい。

集団全体の接種率向上を優先して前年に2回接種していれば今年は1回接種でもよいとしている諸外国もありますが、元々1回の接種で完全を目指せるワクチンではありませんので、13歳未満に関してはやはり2回接種を基本に考える方がよいと日本ではされています。

年末が近づくと、どこのクリニックでも予約が混み合います。

接種が完了してから少なくとも5か月は重症化を防ぐ効果が持続するというデータがありますので、接種を遅らせるメリットはあまりありません。

早めに接種をして、接種できずずじまいで一番インフルエンザが流行する1月~3月を迎えないようにしましょう(大体毎年12月にはそこそこインフルエンザが発生しています)。

当クリニックではインフルエンザワクチンの予約の方が非常に多いので、単独接種でしかお受けしておりませんが、特に1歳前後のお子さんで他のワクチンとの兼ね合いが忙しい方は他院で同時接種を行うことも有力な選択肢であることを知っておいてください。

ワクチンはどこで接種しても必ず効果は同じですから、スケジュールの合う日、予約の空いている病院で早めに接種しましょう。

当クリニックで接種される方はインターネットでご予約下さい(窓口や電話での受付はできません)。9月1日10時からネット予約開始で、接種自体は毎年10月中旬~12月中旬くらいの予定としております。65歳未満の親御さんも一緒に接種予約していただけます。

接種は木曜日、土曜日の14時〜17時(〜16時の日もあり)です。木曜日は私が全て担当しますが、土曜日は普段土曜日のワクチン枠で来ていただいている、大阪市立大学小児科の野村先生(小児科専門医の女医)が原則担当します。ただし予告なく院長に変更となることがありますことを予め御了承ください。

免疫とアレルギーその4 アレルギー検査

アレルギーを考える時、あるかないかという二極的な捉え方をすると思考の迷路にはまりこむことがあります。

「アレルギー性鼻炎の人=鼻つまりや鼻水が出やすいデリケートな鼻の持ち主」と表現するならば、そのデリケートさは0~10まで多様です。

アレルギー性鼻炎がある人は10で、ない人は0という認識を持っている方も多いのではないでしょうか?

そうではなく、アレルギーは程度が軽い人から重い人まで幅広く分布しているのです。

2や3以上をアレルギー性鼻炎と呼ぶか、5以上や7以上をそう呼ぶか、耳鼻科の先生によっても様々でしょうから、ある耳鼻科では「アレルギー性鼻炎」と言われたのに、違う耳鼻科に行くと、「こんなくらいはアレルギー性鼻炎とは呼ばない。」と言われることもあるでしょう。

ところが、どこかで一度でも「鼻炎の気がありそうだねぇ。」言われると、自分の鼻は10である、と思い込んでしまうのが誤解の出発点なのです。

やるべきことは、「薬がいるほど強い症状がどうか、本人がどのくらい実際困っているか。」の判断で、これは本来検査ではなく自覚症状から考えるべきでしょう。

例えばスギ花粉症のシーズンの時に、鼻が時々むずむずするという場合、アレルギーは少しあるのでしょうが、本人が困っていなければ、特に治療は必要ありません。

アレルギー検査の中で一般的に小児科外来で行われることが多い血液検査は、イメージとは裏腹に〇か×かで結果が出るものではありません。

アレルギーの診断は、「ある物が体に入った時に、いつも同じように具合の悪い症状が起こり、それを除去するとよくなる。」ことによってなされます。

よく子どもさんや親御さん自身が、アレルギーかどうか知りたいので検査したいというご相談がありますが、自分で自覚していないアレルギーが検査で明らかになることは普通ありません。

いくら検査で値が高くても、実際症状が出ないのであればそれはアレルギーではありませんので、検査の適応は慎重であるべきです。

また、長引く咳や鼻水がある場合に、血液検査でハウスダストやダニの値が少し上がっているのを見て、これが原因と先生に言われた経験のあるお母さん方もいらっしゃるでしょう。

それ以来必死の思いで掃除機をかけまくっているというお話もよく聞きますが、今までと環境が大きく変わっていない場合、これらが主原因であることはほとんどないと思います。掃除はいわゆる常識の範囲内で十分です。

アレルギー検査はもちろん適応をしぼれば情報量が増える有用な検査ですが、むやみに施行すると検査結果に踊らされることになります。

まずは摂取や症状などのエピソードがから、アレルギーであろうという診断をして、その次のステップとして検査でどのくらい高い値かをチェック、というのが基本的な考え方です(病院に行くのは困るような症状が出てからでよい)。

アトピー性皮膚炎が明らかな赤ちゃんの場合は、今まで食べたことのないものについても血液検査などを施行することはしばしばありますが、これはむしろ特殊な例です。

肌にトラブルを抱えていない赤ちゃんが心配だから離乳食開始前に検査をしたいと言う場合や、大きい子どもで何を食べても症状が出ないけれど検査をしたいなどの場合、ほぼメリットはありませんし、当クリニックでも行っていません。

 

「アレルギーは程度で考える。まずは検査ではなく、エピソードで判断する。」

アレルギーはこれらの原則はありつつも現実の世界では応用問題も多く、中には試しにお薬を飲んでみたり、やっぱり検査をしたりすることで判断がつく場合もあります。

非常に奥の深い分野と言えます。