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子育てその24 誰か見てくれているのかな

今日はとても大事な日。

今までの数か月のがんばりがいよいよ形になるかどうか、勝負の日と言ってもいいかもしれない。

プルプルプル。

仕事の始業のベルが鳴るや否や、無情にもポケットの中の携帯電話が震える。

分かり切っているけれど、やっぱり保育園からだ。

今日だけは、今日だけは。

取らないでおこうかと一瞬の逡巡の後、電話に出る。

 

散々みんなに謝って、保育園に向かう。

今日は朝からあまり食欲はなかった。

体温もちょっと高めだった。

呼ばれるかも、と思いながらも保育園に送っていった。

今日だけは、今日だけは。

そんな日に限って。

赤い顔をしてふーふー言っている我が子を見て、「かわいそう」の前に「何で今日なの?」と心がざわつく。

そのまま小児科に連れて行く。

だって今日中に下がってもらわないと困るから、強いお薬ももらわなくては。検査だって。

「熱が出てすぐに病院に来てもできることはないよ。」

そう言われていつもの解熱剤をもらって家に帰る。

きっとそう言われることは分かっていたけれど、連れて行く以外に自分ができることが他にあるっていうの?

どこにぶつけたらいいのか分からないいらいらがふつふつと沸き起こる。

時計を見たらもうこんな時間。

何もかも何もかも嫌になりそう。

今日だけは、今日だけは。

どうしてそんな日に。

「こっちは何とかなるから、お子さんに付いててあげて。」そう声をかけられたって分かっている。

この忙しい時に帰るなんて、って顔に書いてあるから。

明日、みんなになんて言おう。

いっそインフルエンザなら言いやすいのに。

 

 

働くお母さん達へ。

「私のがんばり、誰かみてくれているのかな?」

幼い我が子のためにした、心を切り売りするような苦労が直接子どもに伝わることはないと思います。

しかしその努力と犠牲にしたものがあるからこそ、もし我が子が道を外れようとした時に自信を持ってその横面をひっぱたくことができる。

嫌われる心配なんかしなくても。

そんな来るか来ないか分からない日のために、我々親はがんばっているのかもしれませんね。

子育てその23 バリケードその後

がい骨のマスクで次男(2歳)のキッチン侵入を一旦食い止めた我が家。

また家の中に平和が戻ってきました。

こちらの言うこともだいぶ分かるようになってきて、パパやママにチューもしてくれるようになり、何だか精神的にも落ち着いてきたような次男。

お気にいりのジャイアンの人形にもチューしたり。

うんうん、かわいいぞ。

例のがい骨のマスクにもチューしたり。

うんうん、かわいいぞ。

・・・。うん?

え?

たった1か月ほどで、がい骨の恐怖を克服してしまっただと!!

 

本当に束の間の平和でありました。

ノロウイルス胃腸炎

ノロウイルスによる胃腸炎が流行し始めています。

ノロウイルスの検査は偽陰性も多く、陰性が出たノロの患児がそれをアピールしながら登園してウイルスをまき散らすことが常態化しており、当院では意図的にウイルス検査は行っていません。

一旦流行が始まると本格的な嘔吐・下痢症の大部分はノロウイルスが原因であると言われていますから、全てノロとして扱うくらいの心づもりでよいでしょう。

病院によっては検査をしているところもありますが、それも3歳未満にしか保険適応はないということを知識として持っておきましょう。

実際上はそもそも検査をしてノロウイルスと分かってから色々対策をやるのでは遅すぎます。

ノロウイルスは他の季節のウイルス性胃腸炎とは一線を画するほど感染力が猛烈で症状も強いため、流行の拡大を防ぐにはとにかく早期からの認識が重要です。

1歳前後の赤ちゃんはイメージとは裏腹に下痢はしているけれど元気で食欲モリモリ、と軽症感あふれる子が結構います。

大きい子や大人の方が症状が強い傾向がありますので、注意が必要です。

保育園や幼稚園、学校ではもちろんのこと、家庭内でも年末・年始に誰かに嘔吐・下痢の症状が出たときは周囲の人たちの頻繁な手洗い、塩素系洗剤による消毒をすぐさま始めることが必須です。

また流行期については、元気や食欲があっても下痢便が頻繁に出ている子や嘔吐がある子には登園・登校を許可することがないよう親御さんや先生方が責任を持って指導・管理してください。

咳・鼻水の風邪に比べて嘔吐・下痢の風邪は、休園や周囲の対策で大幅に感染の拡大を防ぐことができます。

とにかく病院に来てから、検査をしてから考える」のではなく、「嘔吐・下痢を1回した時点からノロを意識して対策する」重要性をしっかり認識しておきましょう。

具体的な対策は、以前に書いた「ウイルス性胃腸炎」のブログを参照してください。

大学時代のことその5 勉強会

医学部は5回生ぐらいになると、病院実習や国家試験に向けて、勉強会というのを始めます。

だいたい仲良し数人でグループを作り、定期的に集まって問題集を解いたりする訳です。

なんせ量が膨大ですので、みんなで分担して自分のところを予習して、勉強会で教え合うというのが一般的なスタイルです。

私は大阪大学医学部時代、男3人、女2人の勉強会に入れてもらってました。

この5人はえらくウマが合い、富士急ハイランド旅行、沖縄旅行、ヨーロッパ卒業旅行など、勉強以外にも多いに一緒の時間を楽しみました。

青春を語るのに欠かせない大切な友人達です。

ちなみにクリニックの受付の上に飾ってあるトトロの時計は、このメンバーがプレゼントしてくれたものです。

卒業後も年2~3回、必ず集まっており、昨年の夏には多忙なみんなの予定を何とか調節して、有馬温泉に一泊旅行に行ってきました。

何かの本で読みましたが、「いつかみんなで旅行したい。」という言い方をすると、願望はなかなか叶わないそうです。

「この夏にみんなで旅行に行く。」という目標で、私達は見事に実現にこぎつけました。

忙しい、忙しいと思っていても、やろうと思えば何とかなるものですね。

目標を立てる時は、期限を設けるとぐっと達成率が上がるそうです。

お試しあれ。

医者という仕事その3 救急車

どのような時に医者としての喜びを感じるかは、科によっても先生によっても様々だと思います。

淀川キリスト教病院の新生児科で勤務していた頃、たびたび救急車に乗ることがありました。

産院で生まれた赤ちゃんが想定外のトラブルを抱えていた場合に、指定病院のNICU(新生児集中治療室)に運んでくるための救急車に医師が同乗して迎えに行くというシステムが大阪では確立しています。

医療現場では常に予想外の事態が起こるものですが、お産の現場はその最たるものと言ってよいでしょう。

大阪ではこのシステムのおかげで、赤ちゃんの入院設備のない産院でも安心して分娩ができ、万が一の時にも入院先がスムースに決まるようになっています。

 

さて、そんな一刻を争う赤ちゃんを搬送している救急車がけたたましいサイレンを鳴らして渋滞した大阪の狭い道を駆け抜けんとする時、車の山が必死に端によって通り道を空けてくれます。

この光景は、日本以外の国では当たり前ではないこともあるようです。

どの車に乗っている方も急いでいるはずです。

その一人一人の善意から分け与えられた数十秒・数分の時間の積み重ねは、乗っている赤ちゃんの十分・数十分になり、そしてその人生を大きく変えることもあるのです。

救急車の前にできたその道の先にまぶしい希望の光を感じます。

医者として猛烈な感謝の気持ちを感じるとともに、思いやりにあふれた日本に生まれたことをとても光栄に思う瞬間でありました。

今は誰かのため、いつかは自分のため。

みんなが空けてくれるこの道がある限り、この国は大丈夫だと確信します。

「かぜ」を知ろう⑥ かぜで病院に行く理由

咳・鼻水・熱と3拍子揃ったら、それはかぜ(ウイルス性)と言い切ってよいでしょう。

かぜを早く治すお薬は地球上に存在しません(例外はインフルエンザのかぜのみ)。

かぜをこじらせないために抗生剤を早めに内服することには、全く効果はありません。

かぜの多くは何もしなくてもかぜのまま終わり、一部のかぜは何をしてもなる時は肺炎になってしまうのです。

ではかぜの時、病院に行くのはどのような理由がある時でしょうか?

 

①かぜが、かぜでなくなっていないかのチェック

かぜのウイルスが「鼻」と「喉」だけに留まっている状態がかぜです。かぜの一部は途中から敵が耳や胸へと侵入していき、中耳炎や肺炎へと進化します(こじらせる)。こうなるとそこからはじめて抗生剤の追加が必要になります(場合によっては入院して点滴の抗生剤)。我々小児科医が胸の音を聞き、耳の観察をするのは、かぜがかぜで済んでいるかのチェックをするためです。

★抱っこしていて呼吸がゼーゼーしているのを感じたり、明らかな息苦しさがありそうな時、あるいは夜だけであっても高熱が3日以上続く時は肺炎になっている可能性がありますので受診しましょう。

★耳を痛がったり、耳だれがある時は中耳炎の可能性がありますので受診しましょう(耳鼻科が最適)。保育園児は鼻水がずっとあるのが普通ですが、耳に影響が出ていないか、元気でも2,3週間に1回耳鼻科や小児科で診察を受ける事を考えましょう。

★元気だけれども10日~14日以上咳がひどく改善しない場合は抗生剤や検査が必要なことがあるので受診しましょう。

②咳、鼻水、熱を和らげてあげたい

必要以上の咳、鼻水、熱を和らげるのがかぜ薬の目的です。飲んだから早く治るということは全くありません。しかもかなり症状を和らげる強い薬の使える大人はまだしも、赤ちゃんや年少児で使えるお薬は副作用の観点からも相当マイルドなものになりますから、気休め程度と言っても過言ではありません。飲めたらラッキーぐらいの感覚で、飲ませようとすると大泣きしてむしろ咳や鼻水がひどくなる、という場合には飲ませる努力は不要と言えます。薬よりもはるかに効果的な和らげる治療としては鼻水の吸引があります。特に自分の鼻水に溺れてしまう小さい子どもには非常に効果的ですから、明らかにかぜではすんでいるけれど咳や鼻水を和らげたいという場合の受診の目的のメインはこの鼻水吸引になるでしょう。

③かぜの途中で喘息のスイッチが入らないようにしてあげたい

以上のように和らげる必要のない軽い症状のかぜの段階の時、急いで病院を受診するメリットはありません。しかしベースに明らかな喘息のある子どもの場合、喘息を抑える薬を使用することでかぜの途中から喘息のスイッチがonになるのをある程度抑えることができますので、早めに受診することを心がける方がよいでしょう。

 

 

運動会や旅行が控えているので早めに治したい、前回のかぜで肺炎・中耳炎になったので今回はしっかり薬を飲んでこじらせないようにしたいという、私の妻からの切実な要望に21世紀の医学は応えることはできません。

この事実を我々医師はしっかりと啓蒙するべき義務があります。

かぜをひいたら早めに病院に行って、効く可能性がゼロでないなどという理由から不要なお薬も含めてどっさり処方されていた昭和の時代の習慣は、あたかも「肺炎になったのは、早く病院に行って薬を飲まなかったせいだ!」という誤解を広めるのには十分すぎるほど我々の意識に強く刷り込まれているようです(医者ですら)。

「肺炎や中耳炎はなるときゃーなる」ので、なったらしっかり抗生剤を使用して治療しましょう。

現代において肺炎が命を脅かすほど怖い病気でなくなったのは(もちろん肺炎になったらどうしようというお母さん方の不安をこの身に痛いほど感じながらあえてこう言います)ならないようにするお薬が開発されたからではなくしっかり治せる抗生剤があるからなのです。

しかし、不要な抗生剤の乱用は耐性菌の爆発的な増加をもたらし、このしっかり治せるお薬という位置づけを揺るがせつつあります。

抗生剤は中耳炎や肺炎のようにかぜをこじらせてからの後出しじゃんけんというのが、子ども達にとっての本当によい治療であるということを今後とも地道に伝えていくことは小児科医にとっての大きな仕事の一つであろうと思います。

ただしこれらはあくまで目安であって、不安な時は遠慮なく病院を受診してよいのですよ。①、②、③より何より受診の一番の目的は「不安だから」なのですから。

「かぜ」を知ろう⑤ 咳止めテープ

「夜、咳がひどいので咳止めテープも一緒に出しておいてください。」

とよく言われますが、実は咳止めテープというものは存在しません。

テープに含まれるのは咳止めの成分ではなく、気管支拡張薬という成分です。

喘息がある子どもは、風邪をひくと気管支が狭くなってゼーゼーという息遣いの出る体質の持ち主であり、このテープを張ることで気管支が広がり、結果的に必要以上の無駄な咳が減ることになります。

ところが喘息のない子どもは風邪をひいていくら激しい咳をしていても気管支はMaxに拡張していますから、テープを貼っても効果はありませんので、大げさに言えば副作用だけもらうことになってしまいます。

夜に咳込んでいる我が子をみて心配しない親はいません。

内服薬も嫌がる場合には特に、そっとテープを貼ってあげると少しでもやってあげたという気持ちになるのもとてもよく理解できますが、効果もないのに使用することがないように私はいつも慎重に診察と処方を心がけています。

子育てその22 子どもをやる気にさせるには

「子どもが全然勉強しないのですが、どうしたらよいですか?」

「本をもっと読んで欲しいのですが、うまい手はありますか?」

「食事の好き嫌いを治すいい方法はありますか?」

我が子に何かをさせたいと思った時、我々親はまず立ち止まって考えてみなくてはいけません。

かくいう自分は家で毎日勉強をしているだろうか?本を読んでいるだろうか?好き嫌いをしていないだろうか?

 

私は毎朝6時に起床して、年長さんの長男と一緒にリビングで勉強をしています。

私は医学の勉強を、長男は読み書きや計算、地図の勉強を。

「勉強しなさい。」という言い方は特にしていないつもりですが、割と自然にこういう習慣ができていったように思います。

私は小さい頃、「本を読みなさい。」とくどくど言われた記憶はありませんが、読書好きの父の横でたくさんの時間を本とともに過ごしました。

子どもに好き嫌いがある場合(発達障害やアレルギーのある子ども達は別として)、親御さんがえり好みをしているのを子どもに見せてしまっていることが多いようです。

私自身と息子というとても狭い範囲での経験なので、どれほど一般論として言えるかは分かりませんが、子どもにやらせたいことがある場合、親がまず率先してその姿を見せつけることはとても有効な手段だと感じます。

そのために必要なことは、自分の限られた時間を子どもに分け与えるという覚悟。

だからこそ「時間」は親が我が子に与えられるプレゼントの中で、どんな時代でも常に最高のものであり続けるのです。

「お金をかけるのではなく、時間をかけてあげる。手をかけるのではなく、目をかけてあげる。」

ますます実感する毎日。

子育てその21 バリケード

子ども達は家の中のあらゆる物に興味津々で近づいていきます。

特にキッチンは火や刃物など危険がいっぱいで、ゲートできっちり侵入を阻止したい場所です。

明日2歳を迎える次男はパワフルに育っているのは喜ばしいのですが、とうとうゲートの開け方をマスターしてしまいバリケードを突破するようになってしまいました。

しょうがないので結局ひもでしばっているのですが、超不便。

その上カウンターキッチンの台の方からも引きずってきた椅子を登ってリビング側から入ってくるようになり、妻と本当に困っていました。

さて昨日、私は梅田で淀川キリスト教病院小児科時代の先生方と食事に行って深夜に帰宅したのですが、真っ暗なリビングに入ってふとキッチンの台を見ると、がい骨の顔が黒光りしていて、恥ずかしながら「びくううっっ!!」。

朝になって妻に聞くと、これは次男が登ってきた時に食べてしまう怖い門番として設置した100円ショップのマスクでした。

なるほどなるほど。いいアイデア。

登ったら初めてマスクと目が合って「びくううっっ!!」という仕組みです。

今のところ怖がって登っていないようです。

 

家の中のバリケードとして100円ショップのグッズが役立つことは結構あります。

赤ちゃんはものすごくテレビに接近して見たりするので、庭園グッズの人工芝(はだしで乗るとチクチクする)を周りに敷くのも安全で効果があります。

引出しなどを開けるのを防ぐグッズも売っています。

ぜひ色々活用してより安全な環境を作ってあげて下さい。

どうでもいいことその11 耳を疑ったことpart4

6歳を目前に控えた年長の長男の自転車の特訓も大詰め。

私もだいぶこんがり焼けました。

家のすぐ近くの公園で練習しているのですが、家事の合間にちょこちょこ妻も顔を出します。

そのたびに、「うーんまだまだやな。」とか、「結局は体で覚えなあかんからなあ。」

などと割と辛口コメントを一つづつ残してはまた残りの家事を片づけに家に戻っていきます。

私も、「うんうんその通りやなあ。」と相槌を打っていたのですが、本当に、いや本当に突然に脳に電気が走ったような衝撃があって思い出したのですが。

 

妻、自転車乗れません。

あまりにもっともらしくアドバイスを残しては家に去って行くため、しばらく全く気づきませんでした。

その旨、指摘したところ、「ばれたか。」と一言。

中々やりおるわい。