とびひ(伝染性膿痂疹)とは?症状や原因、治療薬について解説
とびひ(伝染性膿痂疹)は乳幼児に多く、夏頃に感染が拡大しやすい皮膚感染症です。[1] 火が飛び移るように次々と症状が広がるという理由から、とびひ(飛び火)という俗名で呼ばれています。[2] 本記事ではとびひの症状や原因、治療薬などを解説します。 とびひ(伝染性膿痂疹)とは とびひの正式名称は伝染性膿痂疹(でんせんせいの
とびひ(伝染性膿痂疹)は乳幼児に多く、夏頃に感染が拡大しやすい皮膚感染症です。[1]
火が飛び移るように次々と症状が広がるという理由から、とびひ(飛び火)という俗名で呼ばれています。[2]
本記事ではとびひの症状や原因、治療薬などを解説します。
とびひ(伝染性膿痂疹)とは

とびひの正式名称は伝染性膿痂疹()といい、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌などによって引き起こされる皮膚の感染症です。[1]
虫刺されや湿疹、汗疹(あせも)などでできた傷口から菌が侵入し、二次感染が起こります。特に皮膚が傷つきやすく、汗をかきやすい夏は清潔を保持しにくいため感染が拡大する傾向にあります。
さらにとびひは2〜10日程度と長い潜伏期間がある点からも、感染が広がりやすいと考えられている病気です。[2]
とびひの主な症状である水疱(水ぶくれ)が改善したから感染が広がらないわけではなく、かさぶたにも感染性が残っています。治りかけに見えても気づかないうちに周囲に感染が広がるケースが多いのも特徴です。[2][3]
乳幼児に流行しやすい感染症
特に乳幼児にとびひが多くみられるのは、皮膚のバリア機能が未熟なためです。他にも発汗による蒸れや、身体の清潔を十分に保てないのも影響しています。[3]
またとびひは痒みが強く現れる場合が多く、無意識に掻いてしまう乳幼児も多いです。掻いた手で他の部位を触ると、新たな傷ができてそこから感染が広がります。
さらに、手についた菌がタオルやおもちゃなどを介して他人にうつり、家庭内や保育施設などでも感染が拡大しやすくなります。[1][3]
とびひ(伝染性膿痂疹)の症状や経過
とびひの症状は、感染する細菌によって異なります。主な原因となる菌は黄色ブドウ球菌と溶血性レンサ球菌の2種類です。[1]
黄色ブドウ球菌による感染の場合は、水疱性膿痂疹()がみられます。水疱ができ、その水疱や膿疱が破れた後かさぶたへと経過していきます。この水疱は赤い斑点とともに現れるのが特徴です。[3][4]
一方、溶血性レンサ球菌による感染では、痂皮性膿痂疹()がみられます。痂皮性膿痂疹は赤く腫れて膿疱ができた後、硬い厚さのあるかさぶたがみられる場合が多いです。また溶血性レンサ球菌による全身の症状として、喉の痛みや発熱がみられるケースもあります。[3][4][6]
特に溶血性レンサ球菌による感染が悪化すると、免疫の機能に異常をきたし、急性糸球体腎炎という腎臓の病気や、リウマチ熱などの合併症へ進行する可能性もあるため早期の発見が重要です。[5][6]
とびひ(伝染性膿痂疹)の感染経路
とびひは、原因となる菌によって感染経路が異なると考えられています。黄色ブドウ球菌による感染は、接触感染が主な経路です。菌が付着したタオルや衣類などを介してうつる場合もあります。
一方で、溶血性レンサ球菌が原因の場合は、接触感染に加えて咳やくしゃみによって飛び散った飛沫を吸い込み感染する飛沫感染が起きる可能性もあります。[1][3]
特に保育園や学校のように人が集まる場では、感染が広がりやすくなるとされているため、感染拡大・感染予防のためにマスクの着用が重要です。

とびひ(伝染性膿痂疹)は大人も感染する?
とびひは乳幼児によくみられる感染症ですが、大人も感染します。特に溶血性レンサ球菌による痂皮性膿痂疹は、年齢を問わず大人にもみられやすい症状です。[7][8]
とびひは子どもに限定した感染症ではないため、大人も十分に感染予防策をとる必要があります。
とびひ(伝染性膿痂疹)は保育園や学校、会社を休む必要があるケースも
とびひは学校感染症の一つと分類されているものの、登園や登校は制限なしと定められています。[3]
ただし、もし皮膚症状がみられる場合は、感染防止対策としてタオルを共用しない、水疱や膿疱などの症状がみられる箇所をガーゼや包帯で覆うなどの対策が必要です。
一方でとびひだけではなく、喉の痛みや扁桃炎などの溶連菌感染症の全身症状がみられる場合は、適切な抗菌薬によって治療を開始した後24時間以降であれば感染力が消失するため登園が可能と定められています[3]
とびひ(伝染性膿痂疹)の薬と治し方

とびひの治療は軽症の場合、小さな水疱は潰さずに抗菌薬(抗生物質)の外用薬を1日数回、医師の指示に従って塗布します。
大きな水疱は滲出液が周囲に飛ばないようにしながら、病院で内容液を排出する処置を行うケースもあります。周囲に感染や痒みが広がる可能性があるため、自分自身で水疱を潰すのは避けましょう。[6]
症状が悪化した場合は、外用薬の塗布だけではなく内服治療も併用していきますが、さらに重症化するケースでは抗菌薬(抗生物質)の点滴による治療も行います。痒みの症状が強い人は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー剤の内服で痒みを抑える場合があります。[9]
また薬による治療に加えて、感染した本人にも皮膚の清潔を保つようにしてもらうのも重要な治療の一環です。泡立てた石鹸でそっと患部を洗い、1日1回以上はシャワーを浴びるなど、清潔を保持するようにしましょう。[1]
とびひ(伝染性膿痂疹)のガーゼの貼り方
とびひは感染防止対策の観点から、皮膚症状がある箇所へガーゼを貼付する必要があります。
ガーゼは下記の手順で注意点を守りながら貼りましょう。
- 患部を清潔にする:石鹸で優しく洗って水分をしっかり拭き取る
- 軟膏を塗る:患部に軟膏を塗る
- ガーゼで覆って固定する:軟膏を塗った患部をガーゼで覆う。患部がジュクジュクしている場合はガーゼに軟膏を塗ってから覆う
- ガーゼを交換する:1日2回程度ガーゼを交換する
ガーゼの貼付は周囲への感染を広げないためだけではなく、清潔を保持するためにも重要です。清潔を維持できる適切な頻度で、ガーゼを貼り替えるようにしましょう。
またテープによる固定で肌が荒れてしまう可能性がある子どもの場合は、テープが肌に触れないように包帯やネットなどを使用してガーゼを固定するのがおすすめです。
とびひ(伝染性膿痂疹)の予防法
とびひの感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つです。感染を防ぐにはその感染経路を断つのが重要です。
予防や感染拡大を防ぐために、飛沫感染と接触感染のどちらの感染経路にも有効な手洗いうがいをしっかり行いましょう。タオルやコップ、食器などの共用は避けて家庭内での感染拡大を防ぐのも大切です。
体を掻いて傷ができると、その傷からとびひに感染する可能性があるため、体に傷をつけないように爪を短く切るのも感染拡大を防ぐ方法といえるでしょう。
また、感染経路を断つだけでは十分とはいえません。感染に対する抵抗力が下がった状態を避けることも、予防には欠かせない要素です。ここで言う抵抗力の低下とは、免疫機能がうまく働かず、外部からの菌やウイルスに対して防御が弱まった状態を指します。
強いストレスを感じたり疲労が蓄積したりすると、免疫力や抵抗力が下がってとびひの発症にも繋がりやすくなるため注意が必要です。[10][11]
とびひ(伝染性膿痂疹)は早期発見・受診で感染を予防しよう
とびひは感染が広がりやすく、早期発見と感染予防が重要な感染症です。感染を防ぐために、うがい・手洗いやマスクの着用などの感染予防策を実施しましょう。
感染を疑った際は早めに病院を受診し、水疱を潰さない、患部をガーゼで保護するなど周囲への感染拡大を防ぐように努めましょう。
【監修】
株式会社Officeファーマヘルス
【参考文献】
[1]保育所における感染症対策ガイドライン – 子ども家庭庁
[2]皮膚科Q&A “とびひ”とは何ですか?。 – 公益社団法人日本皮膚科学会
[3]学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説– 公益社団法人日本小児科学会
[4]皮膚科Q&Aとびひに種類があるといわれますが、どのような種類ですか?– 公益社団法人日本皮膚科学会
[5]複数国における猩紅熱と侵襲性A群溶血性レンサ球菌感染症の増加 – 厚生労働省 検疫所
[7]~夏は「とびひ」にご用心~–独立行政法人国立病院機構災害医療センター
[8]皮膚科Q&A とびひは子どもだけですか? おとなもなりますか?– 公益社団法人日本皮膚科学会
[9]皮膚科Q&A Q5水疱性膿痂疹の治療は、実際にはどうするのですか?–日本小児皮膚科学会