Author Archives: 近藤医院

傘鉾(かさぼこ)

お盆休みの8月16日には和歌山県九度山町の上古沢(かみこさわ)という所の傘鉾祭りを見に行ってきました。

九度山の椎出という所で毎年8月16日に「鬼の舞」という神事が行われ、何度か訪れました。このブログでも2022年8月に書きました。以前から同じ日に不動谷川という川の2㎞ほど上流(高野山に近い方)にあるこの地区で、3時間ほど前に小さな祭りがあるときいていたので、今回は鬼の舞とセットで訪れたという訳です。

この祭りは古澤厳島神社の神事ですが、まず少し離れた集会所のようなところでお祈りし、行列を組んで3体の傘鉾が神社に向かいました。皆さん素足です。神社に到着後、雨乞いと五穀豊穣を祈って神事を行います。

DSCF6503-1

DSCF6534-2

全体的には簡素で30分ほどの祭礼でしたが、驚くべきはその後に激しい雨が降ってきたことです。連日の猛暑でしたので日よけ兼用の小さな傘しか持ってこなかったので、結構濡れました。もちろん全くの偶然ですが、今回は神事の雨乞い効果が即座に発揮されました。

この傘鉾を持って練り歩く祭礼は日本各地にあります。祇園祭の山鉾もその一つです。長崎くんちも傘鉾も有名ですが、装飾がものすごく豪華です。色々調べてみると、傘鉾は雨乞いのためのものだけでなく、五穀豊穣、疫病退散、神霊の依り代(一時的に神様が宿るところ)という意義があるらしいです。

祇園まついりや長崎くんちは何日も行われ、大変大がかりなものですが、案外原型はこの上古沢の神事のような簡素なものだっかのかもしれません。

運動しても痩せない?

250730運動しても痩せない

ショッキングな本を読みました。運動は体重を減らすのには役立たないというのです。

著者のハーマン・ポンツァー氏は人間のエネルギー代謝学と進化に関する研究者ですが、タンザニアの狩猟採集民であるハッザ族のフィールドワークを行い、彼らのカロリー消費量を二重標識水法という方法で測定しました。

この二重標識水法とは二酸化炭素産生量を推定する方法で、現在最も信頼できるカロリー消費量測定方法と考えられています。

一日中動き回っているハッザ族の身体活動量は当然多く、一日でいうと平均の欧米人の一週間分を上回っているそうです。それでも体重で補正すると一日カロリー消費量は先進国の成人と変わらないという衝撃的な結果でした。そしてこの「体をよく動かすからといって、多くのカロリーを燃やすわけではない」という事実は他の民族でも、またヒト以外の霊長類の研究でも認められたということです。

どうしてこうなるかという問いに対する著者らの考えは、「脳が代謝をコントロールしているから」というもので、身体活動を増やしても空腹レベルを調節して食事摂取量を増やしたり、他の活動や代謝を減らしたりして一日カロリー消費量を一定に保っている、ということです。

では運動は意味がないのかという訳ではなく、体重を減らす効果は大きくないが、炎症などに余分なカロリーを回さなくなるのでアレルギーや動脈硬化を防ぎ、健康を維持するのには必要であるとも述べています。

結局体重を減らすには摂取カロリーを減らすことに尽きる、というのが彼らの結論です。

確かに「ジムに行ってるのに痩せない」というのはよく聞く話です。やはり体重コントロールは食べ物が重要ということなのでしょう。

 

 

ルーツをたずねる旅

今月のGWには徳島の剣山へ旅行しました。

なぜ剣山かというと、私の父方の祖父、曽祖父一家(近藤家)は剣山の中腹の一宇村というところで暮らしていて、この機会に家の跡を訪ねてみようと思い立ったからです。実は昭和55年(1980年)の夏に来たことがあります。この時は祖父の妹さんが一人で暮らしておられ、私はまだ大学生でしたが、何泊かさせてもらい、「兄やが帰ってきたようじゃ」と、大変歓迎して頂いたのを覚えています。

その方ももう亡くなられ、今回はお孫さんにあたる方が徳島県勝浦町というところにおられて、お会いして正確な場所を教えてもらいました。今は元々の家は完全に処分して、お墓も徳島市内に移し、新築した家(昭和55年に行った時にはありました)だけが残っているということでいうことでした。

当日は徳島市でレンタカーを借り、徳島自動車道を西へ40分ほど走って貞光というICで降り、そこから南へ国道438号を剣山方向へひたすら登って行きました。一時間余り登ってさらに東の方への細い道を行くと目指す場所にたどり着きました。

全景-2

確かに写真のような建物は残っていましたが、とにかくものすごい山奥で、少し上った所には民家が数軒あるものの誰も住んでいないようでした。右側の建物が当家のもので、左の家屋は他家です。この間に家がありました。  元々の家があったところは完全に更地になっており、少しコンクリートの土間が残っているぐらいでした。 下は反対側から見た新しい家で昭和の55年にはここに泊めてもらいました。手前に元々の家がありました。

 

祖父は大阪に来て就職し祖母と結婚して父が生まれましたが、自身は二十歳台で夭折しました。なので私は写真でしか見たことがありません。今回この場所をしばらく歩きまわり、祖父や曽祖父の一家がこの山奥でどんな思いで暮らしていたかと思うと、これは全くの気のせいしょうが、不思議な「暖かみ」のようなものを感じました。

その後車でさらに一時間ほど上ってあとはリフトと徒歩で剣山に登りました。昭和55年にも祖父の妹さんと来ました。下は同じ場所で撮った写真です。

 

令和7年

山頂からは見晴らしが良く、360度の素晴らしい眺望を楽しむことができました。 祖父や曽祖父たちも同じ風景を見ていたことでしょう。有意義な旅でした。

動機づけ面接

250430

動機づけ面接とはアメリカで開発された面談技法で、もともとはアルコール問題を抱える人への面接の方法でしたが、現在は色々な分野に応用されています。また技法自体もアップデートされています。非常に体系化されていて、効果も多くの論文で実証されています。

通常私が月一回オンラインで参加しているのは大阪市大(現大阪公立大)病院小児科におられた川村智行先生先生が主催されているDMMIという研究会で、糖尿病患者さんへの面接に応用することを目的としています。今回は特別なワークショップで、4月27日日曜日に10時から16時まで途中休憩1時間をはさんで練習しました。

誰でも健康に良いと理解している行動を、「やりたい、でもやりたくない」という2つの相反する気持ちを持っています。これを「両価性(アンビバレンス)」と言います。例えば「運動した方が体に良いことはわかっているしやりたい、でも仕事が終わってからはしんどい、また外に歩きに行くのは面倒だ」というようなものです。

これをOARS(日本では「オールズ」と呼ばれている)という技法を使って会話を交わし、この両価性を乗り越えて来談者(私たちの場合は患者さん)の目指す方向へ進んで行く、というのが動機づけ面接の目的だと理解しています。

OはAsking Open Question(開かれた質問)、AはAffirming(是認:患者さんの話を肯定する)、RはReflective Listening (聞き返し)、SはSummarizing(要約:患者さんの話を要約して伝え返す)の略です。

また患者さんが行動を変えようという思いが見える発言をチェンジトークと言いますが、これを拡げてゆく必要があります。これにも様々な技法があり、少し例を挙げると上の運動の話なら「以前は何か運動をされていましたか?」「もし時間があればどんな運動をしたいですか?」という形で聞いてゆく、あるいは「日常生活の中で簡単にできる運動がありますが紹介させてもらって良いですか?」と患者さんの許可を得て情報提供する方法などもあります。

このように書くとなんだかわざとらしい感じになりますが、単純に聞き返しているだけでは患者さんの「できない、しない理由」にずっと付き合ってゆくだけになり(これを維持トークといいます)、何をしているかわからなくなります。外来の現場でどう言ったら自然にチェンジトークを拡げられるかが求められます。

まるでサッカーでパスを受けた時、次に自分がドリブルするのか、シュートを打つのか、味方にパスをするのか、一瞬で判断するのに似ています。難しいですが興味深いです。

お茶会

4

自宅にある八畳の和室には炉が切ってあります。母が茶道をしており、一度だけ親戚の人たちを招いてここでお茶会が開かれたのをかすかに覚えています。四十年近く前のことでした。

今月9日は母の三回忌法要をすることになっており、この和室に親戚の人たちにも来てもらうのでこの機会にお茶会をしようと昨年思い立ちました。私自身は全く茶道の心得がありません。しかしある食事会で茶道の先生とお隣になり、この話をしたところ快諾いただき、開催できることになりました。事前準備のため何度も当家に来ていただき、色々な茶碗、茶道具などを見て頂きました。収納されている押し入れを開けて見ると、思いのほか沢山の茶道具があって驚きました。

茶釜 茶杓 柄杓

同日は先生のおかげで無事に開催することができ、出席の方々にも喜んでもらえました。道具たちも四十年以上の眠りから覚め日の目を浴びることになりました。母も喜んでいるのではないかと勝手に思ってます。

3-2

 

菓子

私自身が茶道を一から習う時間的余裕はないのが残念ですが、お客としての作法は学ぶつもりです。

食事の酸性・アルカリ性

250228アルカリ食

 

私が子供の頃、祖母がさかんに食事の酸性・アルカリ性ということにこだわり、「肉はダメ、野菜を食べなあかん」と言って野菜の食事を勧めたり、豆乳を自分で作って私に飲ませたりしていました。当時1960~70年頃はそのような食事の酸性・アルカリ性ということがちょっとしたブームになっていたのです。

酸性・アルカリ性というのはph(ペーハー)という数値で示されていて、7.0が中性、それより高ければアルカリ性、低ければ酸性となります。私も医師になり、動脈血はほぼph(ペーハー)7.4前後に保たれている、つまり弱アルカリ性になっており、それは呼吸と腎臓の働きで調整されていることを学び、ちょっと食事を変えたぐらいで体内の酸性・アルカリ性が大きく変わるはずはないという考えに至り、意識の外にありました。医学の常識からはかけ離れた考えであるとしてブームも去り、誰も食事の酸性・アルカリ性などとは言わなくなっていました。

ところが先日、腎臓の治療に関する記事を読んでいたら、「CKD(慢性腎臓病)治療ガイドライン」という本に「代謝性アシドーシスを有するCKD患者では、内因性酸産生量を抑制し、腎機能悪化を抑制する可能性があるため、アルカリ性食品(野菜や果物の摂取など)による食事療法を提案する」とはっきり書かれていることを見つけ、びっくりしました。現代の標準的な医学でも食事の酸性・アルカリ性はある程度認められているということです。

最近写真のような和田洋巳(元京都大学医学部呼吸器外科教授)という先生が書かれた「がん劇的寛解」という本を読み、進行がんであってもアルカリ食で生存率が改善することが論文で報告されていること知りました。体内の酸性・アルカリ性は尿のphで調べることになっていて、ドイツの栄養学の専門家がどんな食品がどれぐらい尿のphを変えることができるかきちんと数値を論文で発表していることも書かれていました。祖母が信奉していたのも決して荒唐無稽な話ではなかったのです。

試しに自分の尿のphを測ってみましたが6で酸性でした。野菜を摂るように気を付けているのに少しショックです。和田先生の本では野菜を一日400g摂るように書かれています。そこまではとてもできませんが、食事で尿のphがどれぐらい変わるか自分の体で実験しようと思います。

 

岐阜城の疑問

毎年参加している「若年者心疾患・生活習慣病対策協議会」(若心協)という会が今回は1月26日に岐阜で行われたため前日から行ってきました。

長良川

 

山頂3

写真は岐阜のシンボルである、金華山という山の山頂にある岐阜城です。拡大して下さい。上の写真は北の長良川河畔から、下の写真は南側のJRの列車から撮ったものです。遠方からでも目にすることができます。大きな山容の上に小さな天守閣がちょこんと乗っているのが何となく可愛い感じです。

この城は元々鎌倉時代に砦があったところに美濃国を支配した斎藤道三が整備し、その後織田信長が本拠地として新たに造営しました。今ある天守閣は1956年(昭和31年)に鉄筋コンクリートで建てられました。

信長はこの地を「岐阜」と命名し、山麓に城下町を作り繫栄させました。

以前は天守閣まで上ったことがあるのですが、ずっと思っているのが「なぜこんな山の上に大きな城を作ったのか?」という疑問です。今でこそロープウエイがありますが、標高330mの山頂まで最短ルートでも徒歩40分かかります。まあ昔の人はそれぐらい慣れていたでしょうが、それでも建設資材や食料などを運ぶのはかなり負担だったはずです。

山頂の天守閣がどのように利用されていたかネットで色々調べてみましたが、信長の家族が居住していた、権威を示すためだった、など諸説あるようです。

ただ水が殆どないので籠城には向かなかったということです。

天守閣からは城下をはじめ、遠くは名古屋まで見渡せるようです。隣国から攻め込まれたとき相手の動きが見やすい、ということは確かにあるでしょう。しかしこの城は斎藤道三のころから五回落城しています。

山頂までのルートはいくつかあります。いつか徒歩で登ってこの疑問を再検討したいです。

山頂2

 

 

 

 

 

 

切れないそば

毎年末には自分で二八そばを打っていますが、どうしても切れやすく短い麺になってしまいます。Youtubeなどを見るとこれは初心者共通の悩みで、原因は色々あるようです。そばを打つのは、大まかには以下の5工程があります。

  1. 水回し:そば粉に加水し全体にいきわたらせる。
  2. こね:そば粉をこねて塊にする。
  3. 延し:塊をめん棒で薄く延ばす。
  4. たたむ:伸ばしたものを切りやすいようにたたむ。
  5. 切る:太さができるだけ均一になるように切る。

今回は打つ量そのものを減らし(500g→300g)、1の水回しを素早くして乾燥させないように注意して打ちました。また茹でる時も少量づつにしました。

↓最初はこんなそば粉です。

DSC_2705

↓加水すると小さな塊ができます。

DSC_2706

↓さらに手で混ぜてゆくとこんな塊ができます。この水回し工程が20分程かかり、忍耐が要ります。

DSC_2707

↓この塊をまとめてこねるとこうなります。

DSC_2710

↓めん棒で伸ばしました。

DSC_2713

↓畳んで切りました。

DSC_2714

 

DSC_2716

以前よりは長い麺ができあがりました。年一回しかやらないので永久に初心者ですが、茹でて素人の手作り感を味わいます。

紅葉はむつかしい

今月23日に滋賀県長浜市木之本にある鶏足寺に行ってきました。

ここは紅葉の名所で、目当てはこのような写真の撮影です。

鶏足寺

(「長浜・米原を楽しむ観光情報サイト」から)

しかし残念ながらこの日はこんな感じでした。

L1002395-2

色々調べると、紅葉の良し悪しは、①日中の天気が良いこと ②適度な雨や水分 ③昼と夜の寒暖差があること の3条件に左右されるらしいです。③は、夜の気温が高いと昼間作った糖分を使って活動してしまうため鮮やかな赤にならないということです。

今回はそういう条件が揃わらなかったのか、あるいは行った時期が悪かったのかもしれません。もう一週間後に行けば、とも思いますが、頻繁にここまで通えないので仕方ないです。デジタルですからレタッチ(加工)すればもっと彩度を上げて鮮やかにすることはできますが、そうやってあまり「盛る」のも気が引けます。

しかしまあ、下のような写真も撮れたのでよしとします。

L1002393-2

「サルコペニア」

今月13日日曜日に地域の連合老人会「すえなが会」で講演をしました。今年頂いたお題はこの「サルコペニア」で、正式な意味は「高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下」ということですが、非常に俗っぽく簡単に言うと「年がいって足腰が弱ってくる」状態、ということになります。 今まで「高齢になれば足腰が衰えるのは当たり前」と考えられてきましたが、「いやいやこれも一種の病気だから治すべきだ」というわけです。

これは日本人の平均寿命は伸びたものの、健康寿命(健康上の問題がなく日常生活を送れる期間)が追い付いていない(男性で約8年、女性で約12年の差がある)ので何とかしなければならない、という考えから来ているものですが、簡単には老いられない時代になってきました。

講演ではサルコペニアについて一通り説明しましたが、この講演の準備のため色々調べてみた中で、筋肉からはマイオカインというホルモンが分泌されていることを知り、皆さんにお伝えしました。マイオカインは30種類以上あり、大腸がんリスクを減らす、インスリンを分泌させたりブドウ糖の細胞への取り込みを促すという糖尿病に良い作用、他に血管を拡張させる作用などもあるようです。 今まで正直なところ我々内科医は「筋肉なんてただ手足を動かすためだけのもの」と心臓、肝臓や腎臓などの内臓より下にみていましたが、実は筋肉はこのようなマイオカインを出したり、水分を貯める、熱を産生するといった重要な働きをしていることが解明されてきました。

さらに「筋肉の6~7割は下半身にある」「老化現象で、下半身の筋肉は上半身の筋肉より3倍速く減少する」「高齢になっても筋トレで筋肉量、筋力は増える」というお話をしました。トレーニングは色々ありますが、日常生活の中に取り入れるなら「階段をゆっくり降りる」というのも良い方法です。勢いで降りてゆくのではなく、一段一秒かけて太ももに負荷を感じながらゆっくり降りてゆくのです。

私のことを言うと、診察で患者さんを診察室に入ってもらうたびにできるだけ立ち上がるようにしています。これは礼儀ということでしているのですが、ひそかに足の筋トレの意味もあります。坐るときもゆっくり椅子に腰を下ろしてゆくようにしています。(このことは 栗原 毅 著『食べて飲んで中性脂肪とコレステロールをへらす本』(興陽館)の記述を参考にしました)