月別アーカイブ:2020年6月

骨粗しょう症のおはなし (1)

みなさんこんにちは。本格的な梅雨に入りうっとうしい日々が続いております。いかがお過ごしでしょうか。
梅雨冷えと申しまして、湿度が高く気温が下がりますと、古いけがの部分が痛んだり、神経痛がひどくなったりします。大丈夫でしょうか?保温に努め無理はなさらないようにしてくださいね。
さて、今回からすこしづつ、骨粗しょう症のことについてお話していこうと思います。

    
骨粗しょう症はおそらくどなたでもご存じの病気ではないでしょうか。骨を対象とするので整形外科でもまた、代謝が関係するため内科でもどちらでも取り扱われることが多い疾患といえます。
骨は常にリモデリングと言って古い骨を吸収し新しい骨を形成する新陳代謝を行っています。
吸収が過剰に亢進する、あるいは形成が極端に低下する場合に骨密度は低下します。また、吸収と形成のバランスが悪くなると骨の基質(材料)が劣化し骨の質も低下します。
このようにして骨の強度が失われていき、本来折れにくい部位や、折れるはずのない力で骨折が起きてしまうのです。

        
骨の基質としてはコラーゲンなどのたんぱく質とともに皆さんがなじみの深いカルシウムがあります。
カルシウムは胃を切除した後(吸収するための補助因子が胃でつくられる)、や閉経後(女性ホルモンがカルシウムを吸収促進するためのビタミンD3を体内で作るため)に吸収が低下して骨の石灰化を低下させ強度の劣化を引き起こします。
日本における骨粗しょう症の有病率は1000万人程度、年間の発病数は100万人程度と考えられ、男女比は1対3程度で圧倒的に女性の病気になっています。その理由は上に書いたように、女性ホルモンの年齢による体内変動が大きくかかわっています。
外来診察をしていても、骨粗しょう症への関心は圧倒的に女性のほうが高いように思います。
皆さん何を怖がっておられるのかを伺うとおおむね、骨折して寝たきりにすすむのがいやだということになるでしょうか。
実際、骨粗しょう症の生命予後(寿命)に及ぼす影響は世界中で報告がなされており、背骨の圧迫骨折の数が死亡率と関係があったり、大腿骨の骨密度の低下が死亡率を上昇させる、さらには大腿骨頸部骨折後1年で25%方が亡くなるというショッキングなものもあります。
それだけでなく、やはり、病的骨折(大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折など)を予防すると寝たきりや施設入所の率が低下することもわかっています。
骨粗しょう症はこのように、高齢者の生活の質を著しく低下させるため予防することが非常に大切です。
予防すなわち診断ですが、それには非常にシンプルなものが使われています。
病的骨折があればすなわち骨粗しょう症であり、またない場合には骨密度の低下が若年者の平均の70%以下になったものを骨粗しょう症として治療対象と考えています。
骨粗しょう症と適切に向き合うためには、女性であれば閉経後、男性であれば65歳以上で積極的に骨密度の測定をお勧めします。
測定法にはいろいろあります。
DEXA法を用いた腰椎、ないしは大腿骨の検査が適正であるという学会推奨がなされています。
DEXA法は検査として精度はたかいのですが、機械が大掛かりでなかなか設置してある医療施設も少ないです。
幸い当院にはアロカ製のDEXA法での測定装置がございます。

       

私が考えます、いつまでも自分の足で歩くための身体づくりの第一歩は骨です。骨をしっかり強化することが当クリニックの大きな目標となっております。ぜひ、腰椎のDEXA法での骨密度測定を受けていただき、適切な骨量管理のもと、ながくながくご自分の足で歩いて行ってください。

        

交通事故 特に後遺症診断について

コロナウイルスによる非常事態宣言の最中はさいわい交通事故も少なかったと伺います。

しかし、毎日車を運転して通勤している自分自身としては、交通事故加害者となる危険性もさることながら、交通事故被害者となる恐怖もぬぐいがたいものがあります。


当院では交通事故の患者さんもおいでになっていますが、皆さん多分に不安を抱えながら通院なさっているようにお見受けします。
不安の最たるものは、後遺障害にあるといっても過言ないのではないでしょうか。


後遺障害に関して、診療をおこなう立場から最近の医学会の考え方も含めお話ししようと思います。

一般的に交通事故傷害の場合、外傷発生時期より3か月以上経過すると症状の改善は難しくなるという報告があります。

その間に障害された組織が改善すれば問題ないのですが、筋肉や靱帯などのいわゆる軟部組織のダメージはある程度残存するのではないでしょうか。(もっとも私たちがよく経験するのは足首の捻挫です。ある程度完治しますが、パフォーマンスが低下したり、痛みが残ったりすることも多いように思います。)

後遺障害はないに越したことはないですが、残存した症状に対してはだれしも正当な評価を望むものです。

交通事故に関する後遺障害については、自賠責後遺障害診断書などの記載が必要になってきますが、ここで、後遺障害に関して、私たち医療者が患者さんにしっかりと向き合い、できるだけ正確に書類申請を行うためには、それなりの準備が必要であることはご存じでしょうか。

医学的見地からみた障害の程度を推測するために、

1)障害部位に応じた神経学的な所見

2)症状の経過

3)病院・クリニックでの診療回数

慰謝料の計算としては問題ないそうですが、後遺症に対するかかわりに関しては整骨院での診療は治療実績としてカウントされないとの話も。通院日数が少ないと、症状に乏しいと判断されるそうです。)

 

以上を踏まえたうえで、私はこう考えています。

交通事故患者さんは
1) 必ず画像検査を残すこと
2) 症状の変化があるのでしばらくは聞き取りを絶やさないこと
3) 神経学的異常があれば、ためらわずCT・MRIを行うこと
4) 診療回数が極端に少ない場合や、都合であきは(あんま、灸、針など代替治療、整骨院も含む)医療に移行ないしは併用を行う場合は、後遺症診断上不利を被る可能性を持つことをしっかりお伝えすること

以上が、最悪の場合でも後遺障害への補償につながると考え、抜かりなくお伝えしていきたいと思っています。

労働災害もそうですが、交通事故もないに越したことはありませんが、人生の中でだれもが1度は出会うものではないでしょうか。身体にできるだけ痛みを残さず、残念ながら残った場合でも納得のできる形で対処してもらいたいのはすべての人の望みだと思います。

上にお伝えしたような内容をご理解の上、つらい治療にたいして、すこしでも希望をもって臨んでいただければと考えております。