「骨折したことがないから、私の骨は大丈夫」
「以前、一度骨密度を測ったから大丈夫」
そう思っていませんか?
では、今のご自身の骨の状態を知っているでしょうか。
そして、ご両親やご夫婦はいかがでしょう。
骨粗鬆症を考えるとき、私たちが大切にしているのは、必要以上に怖がることではありません。
まず、今の骨の状態をきちんと知ること。
そこが、骨折を防ぐための第一歩です。
一度も骨密度を測ったことがない方へ
骨の状態は、外から見ただけでは分かりません。
痛みがない。
元気に歩いている。
これまで大きな骨折をしたことがない。
だからといって、骨の状態まで問題ないとは限りません。
特に、骨について一度意識していただきたい時期があります。
閉経を迎える前後の女性
女性は閉経に伴うホルモン環境の変化によって、骨量が低下しやすくなります。
「まだ元気だから」
「骨粗鬆症はもっと高齢になってから」
と考えている方もいらっしゃいますが、閉経前後はこれからの骨について考える大切なタイミングの一つです。
75歳を過ぎた男性
「骨粗鬆症は女性の病気でしょう?」
そう思っている男性も少なくありません。
しかし、男性にも骨粗鬆症はあります。
75歳を過ぎた方は、「男性だから大丈夫」と過信せず、一度ご自身の骨について意識してみてください。
ご本人がこの記事を読んでいなくても、
「そういえば、お父さんは骨密度を測ったことがあるのかな?」
とご家族が思い出してくださるだけでも構いません。
「昔、一度測ったから大丈夫」でしょうか?
もう一つ、私たちが気にしているのが、
以前に骨密度を測ったものの、その後は検査を受けていない方です。
「昔、手で測ったことがあります」
「腕で測りました」
「かかとの超音波検査を受けました」
という方もいらっしゃるでしょう。
こうした検査をきっかけに、ご自身の骨に関心を持つことには意味があります。
しかし、大切なのは、
「骨密度を測ったことがあるか」だけではありません。
いつ測ったのか。
どの部位を測ったのか。
どのような方法で測ったのか。
そのときの結果はどうだったのか。
そして、その後どうなっているのか。
ここまで考えて、初めて「今の骨」が見えてきます。
一度も測っていないから分からない。
そして、
一度測っただけで、その後を見ていないから分からない。
実はどちらも、「今の骨の状態が分からない」という点では同じなのです。
骨粗鬆症治療の入り口は、まず骨の状態をしっかり把握すること
骨粗鬆症の治療を考えるためには、まず現在の骨の状態をきちんと評価する必要があります。
そのために重要なのが、骨密度検査です。
骨密度を調べる方法はいくつかありますが、骨粗鬆症を評価し、その後の治療方針を考えていくうえで、DEXA(デキサ)法による骨密度測定は重要な検査です。
当院ではDEXAを用いて、
腰椎(腰の骨)と大腿骨近位部(股関節に近い脚の付け根)の両方
の骨密度を測定しています。
「骨密度を測るなら、どこでも同じ」
というわけではありません。
私たちが知りたいのは、単に一つの数字だけではないからです。
腰椎はどうなのか。
大腿骨近位部はどうなのか。
どの部位が、どの程度の状態なのか。
それをきちんと把握することが、その後の診療を考えるための大切な材料になります。
DEXAは「測って終わり」の検査ではありません
ここが、私たちが一番お伝えしたいところです。
DEXAで骨密度を測ること自体が目的ではありません。
検査は、その先の治療につなげるための入り口です。
まず現在の骨の状態を調べる。
そして、
どの部位が、どの程度なのかという検査結果に加えて、年齢、性別、閉経、これまでの骨折歴、現在の治療状況などを確認する。
そうした情報をもとに、その方に必要な治療を考えていきます。
つまり、
検査
↓
現在の骨の状態を評価
↓
治療方針を考える
↓
治療後も経過を確認する
↓
将来の骨折を防ぐ
という一連の流れがあります。
「薬を飲んでいるから大丈夫」で終わらせない
すでに骨粗鬆症のお薬を飲んでいる方もいらっしゃるでしょう。
治療を続けることは大切です。
しかし、
「骨粗鬆症と言われたから薬を飲んでいる」
「ずっと同じ薬だから、そのまま続けている」
というだけでは、現在の骨の状態は分かりません。
骨粗鬆症の治療は、単に「骨密度が低いから薬を飲む」というだけのものではありません。
今、骨がどのような状態なのか。
どこを守る必要があるのか。
これまでどのような治療を受けてきたのか。
そうしたことを踏まえて治療を考えていく必要があります。
では、
「骨粗鬆症の治療は、みんな同じでいいのでしょうか?」
これは、また別の記事で詳しくお話ししたいと思います。
必要な方に、必要な検査を
当院では、「とりあえず全員に骨密度検査をする」という考え方ではありません。
まず患者さんのお話を聞き、これまでの検査や治療について確認します。
そのうえで、必要な方にはDEXAを用いて腰椎と大腿骨近位部の骨密度を測定し、その結果を診断や治療、そして将来の骨折予防につなげていきます。
必要な方に、必要な検査をきちんと行う。
そして、
検査したら、それで終わりにしない。
それが当院の骨粗鬆症診療で大切にしている考え方です。
あなたは? ご家族は?
最後に、もう一度だけ考えてみてください。
骨密度、いつ測りましたか?
一度も測ったことがない。
昔、一度測ったきり。
閉経を迎える前後だけれど、骨のことを考えたことがない。
75歳を過ぎたけれど、「男性だから大丈夫」と思っていた。
あるいは、
「母はどうだろう?」
「父は?」
「夫や妻は、いつ測っただろう?」
そんな小さな疑問が、ご自身やご家族の骨を守るきっかけになります。
骨粗鬆症診療の目的は、骨密度の数字を測ることではありません。
今の骨の状態をきちんと知り、その結果を適切な治療につなげ、将来の骨折を防ぐこと。
その第一歩が、現在の骨の状態をしっかり把握することです。
「自分はどうだろう?」
