「朝、布団から起き上がるときに、腰がピキッと痛む」
「台所に立っていると、だんだん腰がしんどくなる」
「もう何年も腰痛やから、こんなものやと思っている」
腰痛は、当院でも毎日のようにご相談いただく症状のひとつです。
身近な症状だからこそ、「年のせいやろ」「疲れているだけ」と、そのままにされている方も少なくありません。
腰痛には自然に落ち着いていくものがある一方で、早めの検査や治療が必要なサインが隠れていることもあります。
今回は、腰痛のおもな原因と、見過ごしたくない症状についてお話しします。
腰痛の原因はひとつではありません
腰は、背骨(腰椎)・椎間板・関節・筋肉などが連携して体を支えています。
毎日の姿勢や動作による負担、年齢とともに起こる骨や椎間板の変化など、いくつもの要因が重なって痛みが出ることがあります。実際、原因をひとつに絞りきれない腰痛も少なくありません。
一方で、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった病気が原因となっている場合もあります。
- 腰だけが痛むのか、お尻や脚にも痛み・しびれがあるのか
- 前かがみになるとつらいのか、後ろに反らすとつらいのか
- しばらく歩くと脚が痛んだりしびれたりして、休むと楽になるのか
たとえば、「買い物の途中で脚が痛くなったり、しびれたりして、続けて歩けない」「腰をかけたり、カートにもたれて前かがみになると楽になる」といった症状は、腰部脊柱管狭窄症でみられます。
こうした症状のあらわれ方の違いが、腰の状態を知るための大切な手がかりになります。
こんな腰痛は、早めにご相談ください
腰痛があるからといって、すべてが重い病気というわけではありません。
ただし、次のような症状がある場合は「いつもの腰痛」と決めつけず、早めに医療機関を受診してください。
- 姿勢を変えて休んでも痛みが軽くならない
- 夜も痛みで眠れない、痛みがだんだん強くなる
- 発熱や強い全身のだるさを伴う
- 転倒や尻もちのあとから腰や背中が痛む
- 脚のしびれが強くなる、足に力が入りにくくなる
- 思い当たる理由がないのに体重が減っている
特に骨粗しょう症のある方は、尻もちだけでなく、物を持ち上げるなどの日常の動作でも、背骨の圧迫骨折を起こすことがあります。
思い当たる転倒がなくても、急に腰や背中が痛くなったときはご相談ください。また、がんの治療歴がある方に新たな腰痛が出てきた場合も、早めの受診が大切です。
【すぐに受診が必要なサイン】
腰痛とともに、「急に尿が出にくくなった」「新たに尿や便がもれるようになった」「お尻や股のまわりの感覚が鈍くなった」といった症状が出た場合は、馬尾(ばび)神経などの重大な障害が疑われます。
また、急に脚に力が入らなくなった場合や、脚の力が急速に落ちている場合も、緊急の診察が必要です。
通常の診療日を待たず、すぐに救急医療機関を受診してください。急に立てない・歩けないなどの場合は119番へ。受診先や救急車を呼ぶか迷うときは、救急安心センターおおさか(#7119)にご相談ください。
スポーツをするお子さんの腰痛にも注意を
腰痛は大人だけの問題ではありません。
運動会や大会に向けて練習に力が入る時期には、お子さんの腰の痛みにも目を向けてください。成長期にスポーツをがんばるお子さんで、特に注意したいのが、**腰椎分離症(ようついぶんりしょう)**です。
腰を反らす・ひねる・ジャンプするといった動作をくり返すことで、腰の骨の一部に負担が集中し、疲労骨折を起こす病気です。
「練習の疲れやろ」
「若いから、放っておいたら治る」
「試合に出られているから大丈夫」
こう考えて痛みをがまんしたまま運動を続けると、骨がくっつきにくくなり、腰痛が長引く原因になることがあります。早めに状態を確認することが大切です。
部活や競技中の腰痛が続く場合や、くり返す場合、特に腰を後ろに反らしたときに痛む場合は、無理をさせず整形外科にご相談ください。
保護者の方も、お子さんの「ちょっと腰が痛い」という声に耳を傾けてあげてください。
腰痛で、毎日の暮らしをあきらめないために
「買い物に行くのがおっくうになった」
「家事の途中で、何回も横にならないとつらい」
「畑仕事や庭の手入れがしんどくなってきた」
「腰が気になって、出かけるのを控えている」
こうした暮らしの変化も、受診を考えていただく大切な目安です。
痛みが強いときや、骨折などで安静が必要なときは、無理をせず休むことが大切です。そのうえで、腰の状態に合わせて活動を取り戻していきます。
腰痛をかばって動かない生活が長く続くと、筋力や体力が落ち、歩くこと自体がおっくうになることがあります。腰を守ることは、歩く力を守ることにもつながります。
当院では、痛みの強さだけでなく、日常生活のどんな動作でお困りなのかを丁寧にお伺いしたうえで、その方に合った治療方針を一緒に考えます。
痛みをやわらげるお薬や処置に加えて、腰の状態に応じて、理学療法士と一緒に体の柔軟性や筋力、動かし方を見直すリハビリテーションも大切な選択肢のひとつです。
まずは、今の腰の状態を確認するところから始めましょう。お気軽にご相談ください。
次回は、腰痛の検査や治療の進め方、そしてリハビリテーションの役割について詳しくお話しします。
